ご 挨 拶

この度、HIVと性の多様性についての理解と当事者支援の活動の拠点として、兵庫県下初の生活安心センターを神戸市中央区に新設することになりました。

わが国のHIV・エイズの現状は、MSM(男性とセックスをする男性)に偏って広がっており、国や地方自治体を中心にした予防啓発も大事ですが、HIVに感染された方(陽性者)を支える活動は、当事者の持っている複雑な背景を考えると更に大事だと考えています。

性行動の活発な若者世代をはじめ、中高年層に至るまで格差が広がっている現状を考えると、経済的貧困への社会の理解や当事者支援なくしては、HIVや性の多様性への問題の解決も遠いと言えるのではないかとも思います。

当会を発足するに当たり、神戸を中心に長年に渡りHIV/エイズの支援に取り組んできた当会理事でBASE KOBE代表の繁内幸治は、生活苦の為に性を売る若者に出会い、彼らの話を聴き、自立に向けての公的支援の申請などに奔走する中で、彼らの複雑な成育歴や生活環境を考えると、公的支援では賄い切れないもっときめ細かな当事者の心や多様な求めに応じるような支援が不可欠であると言います。

ともいきネットは、その指摘を受けて、私をはじめ新たなメンバーが参加し新設された組織で、事務局と全国に先駆けた宿泊可能なシェルターを持っています。

格差社会の現実は、「日本の途上国化」とも言えます。広がる格差は、単にHIVの感染拡大だけではなく、社会の中に新たに様々な困難な問題を引き起こし、それらの問題を克服する為に、甚だ微力ですが活動を始めました。

皆さまの暖かいご理解とご支援をお願いします。

2014年12月

ともいきネット

代表理事 牛王田雅章